カードをめくってお題に答える8冊の本で「タコ」紹介

TAKO BUNKO FILE 50 かつらあかし 桂阿か枝

落語家

2025

1冊目

お題

子供の頃に読んだ一冊

友情

武者小路実篤 著 / 新潮文庫

家に古い文学全集があり、小学生の時に何気なく手に取りました。すると、文章がすべて旧仮名遣いで、それ以来読書が嫌いになりました。ところが高校生になり、急に読書が好きになりました。中でも特に夢中になったのが武者小路実篤。書店で買える本は、小説、詩、随筆すべて読み、さらに当時明石公園にあった図書館で全集も読みました。なぜあんなに夢中になったのか思い出せません。私にとっての青春だったと思っています。

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  • 13 | 9784101057019

2冊目

お題

最近、読んだ一冊

三行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

近藤康太郎 著 / CCCメディアハウス

中学時代の同級生が読んでると聞いたのがきっかけ。サブタイトルは「〈善く、生きる〉ための文章塾」。「そのためには、"ほっこり"等常套句を使わず、五感をすべて研ぎ澄まして自分の頭で考え抜く。自分を驚かせ、自分を発見すること。汝自身を知ること。」「〈論〉ではなく〈エピソード〉に語らせる。"説明しない技術"を身につける必要がある。」"説明しない"というのは落語も同じです。読み終わって、ほっこりしました。

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  • 13 | 9784484202297

3冊目

お題

何冊も持っている一冊

答え

あんけら荘夜話

五代目桂文枝 著 / 小佐田定雄 編 / 青蛙房

我が師、 五代目桂文枝の回顧録。師匠は「人の話をよう聞いて、人の動きをよう見て、何でも吸収せえ。」と言って、弟子に細かく教えることはありませんでした。まして師匠の若い頃の苦労や、どんな思いで滅びかけた上方落語を守り伝えていこうとしたのか、この本がなければ知ることは出来ませんでした。多くを語らない師匠が、自身の噺家人生を語り尽くした貴重な書。

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  • 13 | 9784790508786

4冊目

お題

繰り返し読んだ一冊

新装版 カーネギー話し方入門

D・カーネギー 著 / 市野 安雄 訳 / 創元社

人前で話をする仕事なので、話し方の本には目がいきます。ところがどれを読んでも技巧に走った内容に思え、最後まで読む気になれません。ところがこの本は違いました。「スピーチの準備とは、考えること、さらに深く考えること、思い出すこと、最も心ひかれることを選びだすこと、それらに磨きをかけてひとつのパターンにまとめ、あなた独自のモザイク模様を作ることです。」これだ!話し方にまつわるエピソード満載の一冊。

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  • 13 | 9784422100531

5冊目

お題

飾っておきたい一冊

柚木沙弥郎の染色

柚木沙弥郎 著 / 筑摩書房

学生の時、岡山に住んでいました。卒業後も旅行でよく行くのですが、倉敷民芸館で柚木沙弥郎さんのことを知りました。色使いの鮮やかさに魅力を感じ、東京の日本民藝館にも行きました。そして、自宅にこの人の絵本があることにも気付きました。生活に根づいた実用的な工芸というのが好きになりました。素朴だけど、人の心をとらえて離さない感じと言うのでしょうか?落語に通じるものを感じています。

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  • 13 | 9784480873958

6冊目

お題

今、読んでいる一冊

新作らくごの舞台裏

小佐田定雄 著 / 筑摩書房

落語作家、小佐田定雄先生の「質草舟唄」を手掛けさせて頂きました。元々は私の師匠五代目文枝のために書き下ろされたものです。しかし師匠はされる機会がなく、先生が私に勧めて下さいました。その「質草舟唄」の裏話が記されています。私が落語をすることで、師匠の名前を思い出して頂けるのはとても嬉しいことです。この本には師匠と私のことも載せて下さっています。

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  • 13 | 9784480073389

7冊目

お題

親の本棚から読んだ一冊

人生計画の立て方

本多静六 著 / 実業之日本社

父親の本棚にあったのを何気なく手に取りました。内容は具体的で学校、職業の選び方、結婚から老後の考え方まで書いてあります。昭和27年刊の古い本ですが、書いてあることは今でも通用することばかりです。私自身がこれからについて迷っていた時に読んだのかもしれません。今でも単行本や文庫本で発売されています。

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  • 13 | 9784408551241

8冊目

お題

将来を決めた一冊

私の個人主義

夏目漱石 著 / 講談社

私にとっての思い出の一冊。高校の現代国語の先生が"漱石は小説だけでなく、講演の名手だ"と聞いたのがきっかけ。「あぁ、ここにおれの進むべき道があった!こういう感嘆詞を心の底から叫び出される時、あなた方は初めて心を安んずることが出来るのでしょう。」会社員だった私が、噺家になるか迷っていたとき、この本が背中を押してくれました。

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  • 13 | 9784061582712

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2025たこ文庫の人