カードをめくってお題に答える8冊の本で「タコ」紹介
1冊目
すべてがFになる
森博嗣 / 講談社
高校生のときに出会ってから25年経ち、今もなお、この作品から始まったシリーズを追いかけられる幸せったら。 新作を読み終えるたび、森博嗣と同じ時代に生きていることに感謝しています。 森作品にハマってほしいので手当たり次第プレゼントしたいです。
2冊目
オリーブの実るころ
中島京子 / 講談社
恋のライバルが白鳥、という一篇があって、中島作品を全部そろえようと思ったきっかけの本が“妻が椎茸だったころ”だったことを思い出しました。面白いのが、比喩でなく本当にライバルは白鳥だし妻は椎茸。ド・ストレートの“小さいおうち”や“長いお別れ”も好きなので、いい意味で「らしさ」がなくて、毎回楽しいです。
3冊目
バナナ剥きには最適の日々
円城塔 / 早川書房
理解を諦めた一冊、が正しいかも。とある読書会で“円城塔作品の楽しみ方”を質問したら「あの世界観をそのまま楽しめばいい」とアドバイスされました。そういうことなんでしょう。言葉の軽やかさは好きです。
4冊目
空の怪物アグイー
大江健三郎 / 新潮社
作中の、ある一文に触れたくて定期的に読んでいます。若さ故に重ねた恥も感じた絶望も、全てが救われるような、他にない最上級の“優しさ”の表現。毎回、同じテンションで、震えます。
5冊目
水中翼船炎上中
穂村弘 / 講談社
名久井直子さんのステキな装幀が、いきなり旅に連れて行ってくれるような特別感。表が3パターン、裏が3パターンあって、9ある組合せのうち、私が持っているのはCcです。一首、二首、と少し読んでは閉じ、感嘆のため息をついて表紙を触る。そんな読み方をしていました。
6冊目
女が死ぬ
松田青子 / 中央公論新社
好きな作家さんがたくさんいて、たこ文庫で紹介したさに“今読んでいる”ことにしようかなどと頭を過りましたが、正直に。同じ世代で兵庫県出身。勝手に親近感をもって読んでいます。この人にはスランプなんて起き得ないだろうなと思える多彩な表現が詰まった作品。
7冊目
ねたあとに
長嶋有 / 朝日新聞出版
「今、読んでいる本を交換しましょう」みたいな機会があって、手にした本。作中の言葉遊び“それはなんでしょう”をやってみたくて、同じものを買いましたが、結局借りっぱなし。ストーリーでも心情でも読ませる長嶋有の、言葉のセンスが光っています。
8冊目
どんなにきみがすきだかあててごらん
サム・マクブラットニィ 文 / アニタ・ジェラーム 絵 / 小川仁央 訳 / 評論社
寝かしつけの本といえばこれでした。日本中でいちばん上手に読める母親とは私のことだろう、と自負できるくらい。読み終わったあと、お互いの好きを伝え合って眠りにつくであろう余所の家族の風景を想像するだけで、いい夢がみられそう。
★マークのある本は、版元品切れで入手不可となります。そのほかの本に関しても手に入りづらい本もございます。