カードをめくってお題に答える8冊の本で「タコ」紹介

1冊目
光と影の庶民史
河野通博 著 / 古今書院
瀬戸内に生きた人びとの暮らしや社会の変化について、自然環境を踏まえたうえで、それらの関係性や歴史的経緯から説明した地理学書です。就職し、営業回りをしながら、いろいろ考えていたときに、市立図書館で目にして読みふけり、やりたかったことを思い出しました。
2冊目
阿房列車 / 第二阿房列車 / 第三阿房列車★
内田百閒 著 / 旺文社文庫
高校の部室街で流行つてゐた一冊。何の用も無いのに鉄道に乗つて帰つて来る、今でいふ処の「乗り鉄」の実践記。金策をし、ヒマラヤ山系氏を従へて、出来る丈一等車を選び、食堂車で麦酒やウヰスキーを飲み、日本各地へ行つて帰つて来る旅。百閒がこだわつてゐた旧仮名遣ひの本をオススメします。当時、旧仮名遣ひで書くことも流行りました。
3冊目
向田邦子の手料理
向田和子 著・監 / 講談社 編 / 講談社
若い頃、向田邦子の随筆にはまりました。すでに不慮の事故で亡くなっていて、新作は出ないと思っていたところに本書の刊行。関係者の思い出話をうなずきながら読み、数々の写真に思いを寄せました。掲載の手料理のなかで私のお勧めは「わかめのいため物」。随筆では女優のいしだあゆみに教えた時の逸話として登場します。わかめは、本書では鳴門産が紹介されていますが、たこ文庫な方たちなら、明石産ですね。
4冊目
風の谷のナウシカ(1~7)
宮崎駿 著 / 徳間書店
是非、迫力のある表紙カバーイラストを愛でてください。高校生の時に映画を観て感動し、原作は深く濃いと同級生から聞き、読み、はまりました。連載途中で著者が制作した映画は、原作の世界観が大幅に削ぎ落とされたものでしたが、それはそれ。連載再開後は、一気にスピード感のある展開となり、結末へと向かいます。
5冊目
細雪(上・中・下)
谷崎潤一郎 著 / 新潮文庫
分厚い大作ですが、するすると読めてしまうことでしょう。谷崎は江戸っ子だそうですが、さまざまな登場人物の大阪弁はまるで耳に聞こえてくるかのように見事です。そして、昭和13(1938)年発生の阪神大水害の描写には、水害の恐ろしい情景が目に浮かびます。描かれた暮らしぶりに、昭和戦前期の阪神間モダニズムが垣間見られます。授業準備のために、古本屋で購入。文字が小さいし、紙の色は変色しているけれども、味のある状態になりました。
6冊目
単独行★
加藤文太郎 著 / 朋文堂
伝説的登山家の山行記、登山論。ストイックです。新田次郎が小説の題材にしています。中学生の頃だったか、一人で札幌近郊の山に登っていた時に知り合った神戸出身のおじさんがくれました。彼はかつて造船会社で働いていた自分の姿を著者に投影していました。新温泉町立加藤文太郎記念図書館に、著者に関する資料が展示されています。
7冊目
はしれクラウス
かんべじゅんきち ぶん / ふじさわともいち え / 金の星社
1872年に新橋・横浜間、1874年に大阪・神戸間で、官営鉄道が開業しました。蒸気機関車もレールも輸入の時代、鉄道建設は大変な決断だったことでしょう。そんな時代に、ドイツから日本へとやってきた小さな蒸気機関車クラウス17号が辿った運命を淡々と描いています。
8冊目
図説 京阪神の地理
山口覚 著 / 水田憲志 著 / 金子直樹 著 / 吉田雄介 著 / 中窪啓介 著 / 矢嶋巌 著 / ミネルヴァ書房
大都市と衛星都市が集中する京阪神地方を、自然、産業、社会、文化から、歴史的経緯を踏まえて捉えようとする地理学の入門書。神戸に関しては、阪神大水害、近代の都市発達、キャベツ栽培、北野町や有馬温泉などが取り上げられています。明石の漁業を紹介するコラムもあります。2026年3月刊行予定の第2版では、明石市を事例にしたスーパーマーケットの節が加わる予定です。
★マークのある本は、版元品切れで入手不可となります。別判型で流通しているものもあります。そのほかの本に関しても手に入りづらい本もございます。










